吹田市介護老人保健施設事業団への
運営費負担金支出について
問(林):
まずは介護保険施設管理事業における一般財団法人吹田市介護老人保健施設事業団への運営費負担金の支出について質問いたします。
1点目、本市から9,000万円もの運営費負担金を事業団に投入する計画が示されていますが、事業団の財政状況はいつから悪化し始めたのでしょうか。令和6年度の監査結果で指摘されている内容では、施設利用率の低下等により、平成28年度から期末一般正味財産残高、いわゆる純資産が減少の一途をたどっている状況について、本市はどのように認識されていたのでしょうか。現在の財政状況について詳細な説明を求めるとともに、これまでに事業団及び本市が講じてきた経営改善策の内容とその効果について具体的にお示しください。
2点目、同じ指定管理者体制が長年続いており、令和6年度から切り替えの機会があったにもかかわらず、結局は現状維持となった点についてです。本市はこの責任をどのように認識しているのか、明確に御答弁ください。
3点目、指定管理者のモニタリング評価について伺います。
コロナ禍での調査の難しさは理解しますが、そのことを理由に十分な実態調査が行われなかったのではないでしょうか。これまで具体的にどのような調査を実施してきたのか、詳細に説明を求めます。
4点目、現在の利用者について伺います。
現時点で、本市内にある民間事業者へ早急に利用者の引継ぎを行うことは不可能なのでしょうか。
5点目、副市長が理事長、常務理事に福祉部長、幹事には市民部長といった形で、本市の幹部職員が役員を務める外郭団体に対し、巨額の財政投入を行うことは、我々市民から見れば、公正性やガバナンスへの疑念を強く抱かざるを得ません。
我が会派は事業団が外郭団体であるとはいえ、本市には多大な責任があると感じますが、本市はどのように責任を感じているのか率直な見解をお聞かせください。
6点目、もし仮に本議案が可決された場合、事業団は今後も運営を継続していくこととなります。そこで伺います。今年度を含め、今後も財政投入を行いながらの運営を想定しているのでしょうか。また、その場合、数年後には施設の大規模改修も予定されていると承知しておりますが、現時点でその費用を幾らと見込んでいるのか試算をお示しください。
加えて、今回の財政投入が単なる問題の先送りに終わってはなりません。運営効率化や仕組みの改善を今後どのように進めていくのか。本市は事業団の在り方について、令和7年度中をめどに検討する検討を進めるとされていますが、具体的にどのような方針をお持ちなのか、明確にお示しください。
答(福祉部長):
まずは福祉部から一般財団法人吹田市介護老人保健施設事業団への運営費負担金の支出につきましてお答えいたします。
初めに、吹田市介護老人保健施設の指定管理者である事業団の経営状況につきましては、近年、介護老人保健施設サービスそのものに対する社会的ニーズの低下や、市内の民間老健施設の増加等により、当施設の入所率は低下傾向にあり、平成28年度(2016年度)以降、単年度収支で赤字が続いております。これまで当該事業団では、近隣医療機関等への定期的な情報提供や各種介護報酬加算の取得による収入の確保、給与や各種手当の見直しによる人件費の抑制、維持管理費の削減等の経営改善に取り組んでまいりましたが、入所率の低下に歯止めがかからず、加えて近年の急激な物価、人件費の高騰等により、経費が増加し非常に厳しい経営状況にあるものと認識しております。
次に、指定管理者の選定につきましては、令和5年(2023年)に開催された指定管理者候補者選定委員会において審査されており、近年3か年の収支状況及び令和4年度(2022年度)決算に基づく流動比率や自己資本比率などの財務に関する指標をお示しした上で、候補者として決定されたものでございます。
財務に詳しい委員からは、赤字傾向が続いていることに関する懸念は示されたものの、すぐに経営が行き詰まる状況ではないとの分析がなされており、本市としましても、その時点において、その後の急激な収支の悪化を予測することが困難であったものと認識しております。
次に、指定管理者へのモニタリング評価につきましては、吹田市指定管理者制度ガイドラインに基づき、月報年次報告書、利用者アンケートの確認、日々の指定管理者とのやり取り施設への立入りによる実施調査等、本市職員によるモニタリングを毎年実施しております。
また、指定期間の2年目と4年目には、第三者の専門的知見を活用した第三者モニタリングを実施しており、コロナ禍においても、本市ガイドラインに沿って適切にモニタリング評価を行ったものでございます。
次に、現在の利用者を民間事業者に引き継ぐことは不可能かとのことでございますが、今回の負担金は当面の間利用者に対して安定的にサービスの提供を継続することが目的であり、現時点におきましては、民間事業者への引き継ぎについて具体的には検討しておりませんが、民間事業者の空き状況、御家族を含めた利用者の御意向、御本人の健康状態など多くの課題があり、一定の時間が必要になるものと想定されます。
次に、事業団は、当施設の運営のために本市が設立した外郭団体であり、当施設を取り巻く社会情勢や経営環境が変化する中においても、本市の求めるサービス提供を継続してまいりました。その中で、コロナ禍以降の急激な変化が事業団の経営に与えた影響は大きく、結果として収支が急速に悪化したもので、本市の責任において負担金を支出することはやむを得ないものであると考えております。
次に、大規模改修につきましては、現時点の概算で16億円程度と見込んでおります。また、今後の方向性につきましては、現時点で具体的な方針は定まっておりませんが、当施設及び事業団の在り方を検討する中で、事業団の収支状況や、当施設の必要性のほか、継続的な公費負担の是非や大規模改修に要する多額の経費など、あらゆる課題を洗い出し、総合的に判断してまいります。
問(林):
老健施設への9,000万円支出についてです。市民の大切な税金を投入する以上、まずは徹底した改善努力と仕組みそのものの是正が先であると考えます。そうした手だてを尽くした上で、なお必要不可欠と判断される場合に限って、初めて公費投入を検討すべきではないでしょうか。
そこで、事業団理事長でもある春藤副市長として、外郭団体である事業団の現状の在り方や今後の方向性についてどのようにお考えなのか、御見解をお示しください。
答(福祉部長):
まずは福祉部からお答えいたします。
一般財団法人吹田市介護老人保健施設事業団におきましては、これまでも継続して、収入の確保や経費削減などの収支改善に取り組んできたものと認識しており、引き続き効率的な経営に努めるよう求めてまいります。
答(副市長):
吹田市介護老人保健施設事業団につきましては、開設以降、その運営を誠実に履行し、効率的な経営に努めてきたところではございますが、当施設に対するニーズの低下、コロナ禍以降の経営状況の急激な悪化、目前に迫った大規模改修などを踏まえ、まずは利用者への適切なサービス提供を確保した上で、今後の在り方を考える時期にあるものと認識をしております。
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