教職員の人事権移譲について
問(林):
昨年に引き続き、今年も来年度大阪府当初予算に対する要望の中で、本市は府費負担教職員の人事権について本市への移譲手続きを進めるようご要望されておられます。
今年は昨年要望した際にはなかった「早期に」というフレーズが増えており、本市が早急に実施したい取り組みなのであることが伺える要望書であるにもかかわらず、過去からの本市の取り組みについて私なりに確認をさせて頂いても、現在本市が取り組んでいる人事権移譲については単に教員の働き方改革を目指しているようにしか見えず、人事権を早期に移譲したいと要望する「真の理由」がはっきりわかりませんでした。
すでに過去に質問されている内容と重複するかもしれませんが、改めていくつか質問させて頂きます。
まず1点目ですが、そもそも本市が教職員の人事権移譲について本格的に取り組むことになった経緯を、ぜひともお示しいただけますでしょうか。何か特別な事情や、単に外から見えない事情があったのでしょうか。
2点目、人事権移譲について本格的に取り組むことになったのは、具体的にはいつ頃からだったのでしょうか。これについても正確な時期を教えていただけると助かります。
3点目として、本格的に取り組み始めてから今日までの経緯を、ぜひ詳細にご説明ください。道のりが長かったのか短かったのか、気になるところです。
4点目ですが、本市は市単独で人事権移譲を進めたいというお考えだとのことですが、平成24年4月から隣接する豊能地区の3市2町が協議会を発足し、全国で初めての人事権移譲を受け、教員採用選考などを行っているのはご存じかと思います。本市が所属する三島地区の4市1町もそのような方法を取ろうとしていないのは、一体なぜなのでしょうか。なぜ隣の地区の成功事例を参考にしないのか、不思議でなりません。
そして5点目ですが、仮に近い将来、本市が目指すように本市単独で府費負担教職員の人事権移譲が行われた場合、その際のスケジュールや段階的な計画について、具体的にお示しいただけますでしょうか。もちろん、大阪府との協力が必要なことは理解しておりますが、本市が口先だけでなく、「本気で」人事権移譲を望んでいるのであれば、それなりの計画が想定されているはずですので、お答えいただける範囲で結構ですから、具体的なスケジュールや計画をご説明いただけますでしょうか。
答(学校教育部長):
教職員人事権の移譲に本格的に取り組むことになった経緯及び時期についてでございますが、まず、平成27年の文部科学省からの通知がございます。当該通知では「中核市等への人事権の移譲については、広域での人事調整の仕組みにも配慮した上で、中核市等に権限を移譲する方向で検討を行い、小規模市町村を含めた関係者の理解を得て、結論が得られたものから順次実施する」との閣議決定の方針が示されました。権限を持つことで本市が求める人材の確保や教育の推進に有効な手段として期待できることから、本市が中核市に移行した令和2年度から本格的に取組を進めてきたものです。
次に、本格的な取組からこれまでの経緯につきましては、令和2年度以降、権限移譲について大阪府へ要望するとともに、令和2年10月に総合教育会議の協議事項として提案し、令和3年4月の企画会議にて、学校の抱える課題、現状の状況やこれまでの経過を踏まえ、本市独自で人事権移譲を求めていく方向性について確認いたしました。 また、大阪府と協議を重ねる中で、全国的な教職員採用試験の倍率が低下傾向にあることを受け、受験者の確保等の検討課題が示されており、大阪府に対しては、課題への本市の考え方や取組について説明を続けてまいりました。
次に、三島地区でのブロック単位の権限移譲につきましては、権限移譲の目的として、本市の教育理念に共感するモチベーションの高い人材の確保があり、単独で移譲を受けなければ、本市が求める人物像に絞って募集、採用することができず、本市独自の教育の魅力を発揮することが難しいと考えております。
次に、権限移譲のスケジュールや計画につきましては、相手方のあるところでもあり、具体的にお示しできる段階ではありませんが、十分な倍率の中で教員の選考が行える環境が整い次第、速やかに手続きを進めていきたいと考えております。
最後に、教職員人事権の移譲は、本市が吹田の教育に責任を持ち、多様な子供たちそれぞれに応じた質の高い教育の提供を目的としております。その実現向けて、まずは、教育の根幹を支える教員が心身ともに余裕を持ち、十分に教職の魅力を感じながら、やりがいを持って働き続けられる環境を整えます。教職を目指す多くの方に選ばれる自治体となるよう重点的に取り組んでいくとともに、大阪府に対しても、本市権限移譲に向けた考えや取組を引き続き説明してまいります。
※持ち時間が足らず議場では発言できなかった林の意見
教職員人事権の移譲についてはスモークフリーシティと同じく令和2年度から本格的に取り組んでおられるとのことですが、3年以上経過してもまだ『具体的なスケジュールや計画をお示しできる段階ではない』というのは、少し意外でした。もちろん、大阪府との協議が重要なことは理解しておりますが、せっかくのご尽力が実を結ぶように、少しでも進捗が見える形でお知らせいただけると、市民としても安心できるかと思います。
また、教員の確保に関しては全国的に厳しい状況であると伺っていますが、豊能地区での取り組みを参考にしない理由が、『本市独自の教育理念に共感する人材の確保』という点にあることも理解いたしました。ただ、教員の確保が難しい中で、独自の方向性にこだわりすぎることで、逆に人材の確保が難しくならないか少し心配しています。
現場の教員がやりがいを持って働ける環境を整えるというお考えは非常に素晴らしいと考えますが、その環境は本市単独で人事権の移譲を行わなくてもできるのではないでしょうか?今一度考えて頂ければと思います。私も教職員人事権の移譲をしたいというお考えに関しては否定するものではございませんが、本市単独という点についてはまだ疑問が残ります。引き続き、大阪府との協議が良い形で進みますよう、応援しております。