岸部保育園民営化協定解除による
損害賠償請求訴訟について
問(林):
先月、11月21日にこの訴訟の判決が下り、本市の敗訴となりました。この訴訟については令和3年11月の定例会で議決され、当時の大阪維新の会・吹田市議団と市民と歩む議員の会の構成メンバーのみが否決し、その他の会派の賛成を得て可決されました。
私自身は今任期から市民の負託をいただき、議員となりましたので過去の議会や委員会での話と同じような内容をお聞きすることもあると思いますが、質問をさせて頂きます。
そもそも、この訴訟を行うに至った経緯をお示しください。
答(児童部長):
岸部保育園の民営化遺憾に際し、相手方が協定書に定める引継業務を行わなくなり、その履行に関する協議に応じていただくことができませんでしたため、やむを得ず本市が協定解除し、損害賠償請求を行ったものです。
請求後においても解除要因に係る認識の相違があり、支払いにも応じてもらえなかったため、やむなく本市は、令和3年(2021年)11月定例会において訴えの定期に係る御議決をいただき、令和4年(2022年)1月に大阪地方裁判所に訴訟を提起し、本市に生じた損害の賠償を求めたものです。
問(林):
今回、途中で和解案が提示されたにも関わらず、本市が和解をすることに同意をせず判決として敗訴したと仄聞しております。この裁判の経過についてお示しください。
答(児童部長):
訴訟の弁論手続等の中では、原告による協定解除以前における被告の解除の意思表示の有無や被告の債務不履行による原告の損害賠償の有無及び額などの争点の整理が行われ、双方の主張の確認が行われた後、令和5年(2023年)7月に裁判所から和解案の提示がありました。
被告にはその責めに帰すべき債務不履行があったことを双方で確認し、本市が損害賠償請求を放棄するという和解案の内容は承服し得るものではなかったため、和解には応じていません。
問(林):
本市の敗訴として先日議員各位にご報告をいただいた判決について、敗訴になった理由を詳しくお示しください。
答(児童部長):
第一審判決では、岸部保育園が移管されていた場合、市が受領する地方交付税額は減少していた、裏返すと、債務不履行により移管されなかった結果、市はその額の利得を得ていると認められ、市が利得を得る金額は、市が主張する岸部保育園の運営費等の損害額を上回っており、被告法人の債務不履行によって市に損害は発生していないと判断され、市の請求が棄却されたものです。
問(林):
12月5日である昨日が第1審の判決を不服として高等裁判所へ控訴をするための期限だったはずですが、控訴されたのでしょうか。
答(児童部長):
第一審裁判所の判断と、本市の公立保育園の運営費と財源措置との実態に関する理解との間に大きな隔たりがあること、また、移管に係る契約の締結後に相手方の責任により契約を取りやめても、相手方が何ら賠償しなくてもよいという不合理な結論を受け入れることはできないことから、本市代理人弁護士から、大阪高等裁判所に控訴状を提出し、控訴しております。
(林):
はい。されたということで、そもそも今回のですね、訴訟は過去に我が会派として、今後の影響を考慮すべきとして、本訴に打って出ることは慎重にするべきと主張していました。
この度、一審において敗訴となった事は非常に残念でありますが、私は、過去を遡及し、当時を断罪するつもりはありません。行政として、今回の事案は控訴していくとのこと、承知をいたしました。
控訴審へ進むのであれば、一審での内容をより精査した上で、新たな材料の提供や論点整理をして頂き、良い結果を出して欲しく思います。もちろん、代理人や当事者から見れば、今後の訴訟上の展開について織り込み済みだとは思いますが、市民の資産や財産をお預かりする行政の立場を考え、改めて述べさせて頂きました。
ただ、私とすれば、令和3年11月の定例会での我が会派が「反対する」討論をしましたが、我が会派が判断した、その考えは現在でも正しかったと思います。初手の段階での対応が重要だ、との思いからです。そもそも当初の対応に問題がなければ、訴訟という場に持ち込む事もなかったはずです。今回の児童部における訴訟だけの事ではありません。全ての部局に当てはまることですので、今回の件を他山の石として各部局お考え頂ければと思います。